暴挙
明け方のことであった。
若猫どもが騒ぎ、新聞紙を引っ掻きまわす音がするので、もしやこれはトイレを片付けろのサインかとのそのそ起き出した。
が、トイレのすぐ近くに敷かれた新聞紙に乱れた様子はなく、ここらでしたのではないらしい。じゃあどこを引っ掻いていたのや、と見回すと。
新聞紙の端でじっとうずくまるマダム猫の方からしっこ臭いにおいが。
おかしいな、彼女は粗相はしないんだが、と思って見てみると。お尻の下の辺りが確かに濡れている。
が。濡れていたのは下の新聞紙だけではなかった。
坊猫のやろー、日頃世話になってるちうのに、マダムの背中にまともに粗相を仕掛けて行ったのだった!!
えいこの罰当たりが、あんたお義母さんのことは相当好きなんじゃなかったのかい、きいっ! などと言いながらも、新聞紙の片付けをし、マダムの背中をウェットティッシュで掃除。
しかしてこの間、マダムは微動だにせず。あんまりにもショックで固まってしまったのか、それとも小僧のすることに一々構ってはいないのか。どっちにしても不憫だが。
それにしても、不埒な小僧には猫パンチの一発くらいお返ししてやっても良かったと思うのだよ。背後からヒット・アンド・アウェイを仕掛けられたら反撃もできなかったのかもしれんが。