コンタクト消失

 夜、居間でコンタクトレンズを外したら。左目分だけ、目から落ちた直後に消失。
 落ち着け、コンパクト鏡に落ちた時「かちっ」とかいう音がしたじゃないか。そんなに勢いつけて飛び出したわけじゃないし、近くに落ちてるはず。絶対あるはず。
 そう念じながら、そろそろ後ずさって服の袖口とか胸元とか座布団の上とかをくまなく眺め回すも、見当たらず。折り返しの隙間に入ってないか、とか、思ったより遠くへ飛んでないか、などと思い、服を払ってみたり捜索範囲を広げてみたりするも、それらしいものが見えてこない。
 おかしい、いくらなんでもこんなに見つかりにくいもんだったか? これだけ探して見つからないということは何かもうどうしようもない不測の事態になっちゃってるのか?(既に粉々に割れているとか、数メートルほども遠くへ飛んじゃってるとか)いい加減諦めて、新しいのを買うしかないのか――?
 と、思い始めたとき、気が付いた。座布団や服に落ちたなら「かち」なんてえ音を立てるわけがない。
 やっぱり手鏡の方に落ちてるんじゃないか。でもそれらしい物は見えなかったけど。と、開いて見直すと。
 あった。
 右目のレンズの上に、重なっていたのだった。
 わあこいつは盲点でしたなあ。コンタクトレンズだけに。
 ――って、これまでの捜索の散々な苦労は何だったのや、間が抜けている;
 まあ、無くさないで済んで良かったけどもさ。うう。