東京国立美術館にて北斎展など見る

kazume_n2005-11-12

(写真は東京国立美術館だけど北斎展会場の平成館ではなく表慶館の前)
 「大変充実した展示だが、大変に混んでいる」という評判を耳にしてちょっと腰が引けていたのだけど、一念発起して行って来ましたよ。
 会期はまだまだあるのになんで慌てて行くかというと、一部の展示品目には入れ替えがあるんである。特に、メトロポリタン美術館所蔵の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(ドビュッシーが「インスパイヤ」されて「海」を作曲したとか言われるやつね)はこの週末までだというので、腹を括って行って来たのである。木版画なので同じ「神奈川沖浪裏」は東京国立博物館など他にもあるけども、メットのが一番摺りが良いとされている、らしい。
 館内に入ったのは午前11時半前後、幸いまだ入場制限の行列は出来てなかったけど、順路の最初の部屋が一番混み合うというので、はす向かいの「為一期」の部屋から回るよう指示される。(会場の平成館は入り口から上がってくる吹き抜け部分を中心に、両翼に展示室があるという形なのでこういう誘導が可能なんである)で、少しはましな込み具合の筈でも、充分展示品の前は混み合っていた。なにしろほとんどの作品が現代のサイズにしてB5〜A3版くらいの木版画で、細かく書き込まれ(彫り込まれ)てるのが特徴なもので、どうしても目を惹く絵の前は人だかりになるんである。人だかりになるような作品ほど他の人々も気になるから、後ろには交代待ちの行列ができるし。
 他のを先に回ったりしながら空き具合を見て戻るなど工夫するも、やっぱりじりじり待ってる時間の方が長かったかもしれん。や、待つ間に眺める他の絵も楽しいんだけどね。
 まあ足を痛くしながらも堪能したことでありますよ。やっぱり北斎は構図がかっこいいです。特に動物とか、職人や芸人とか、体の動きの瞬間を切り取ったような図が鮮やかで。中でもとりわけ老境に入ってからの肉筆画の、鳥の脚とか蛇とかの腥そうな怖さが際だつような。百物語の一枚、ご馳走の周りに蛇がうねうねしてる「しうねん」とか、眼光鋭い威厳ある立ち姿の「軍鶏」とかね。
 さて、たっぷり三時間ほどもかけて回った後、カタログを買って外へ出て、敷地内でお昼を食べて(といってももう午後も半ばだった)から、さらに裏手の庭園を見て、同じチケットで入れる常設展を時間いっぱいまで見たのだった。うーむ、でも東洋館の大半と本館一階の八割くらいしか見られなかったな。企画展で何度か来ている筈だけど、意外に常設展に足を踏み入れたことがないですよ、東京国立美術館って。
 まあ一日たっぷり美術館で遊んで満足したのだが、しかし当然の事ながらというか、夜には足腰が痛いのだった。とほほー;