池袋西武イルムス館にて『マリア・テレジアとマリー・アントワネット展』(池田理代子氏のサイト)

 ごく最近知ったのだが、会期が短いそうなので、慌てて行ってみた。
 で、会場は二十代以上の女性を主に大変なにぎわいであった。池田理代子氏が監修していることからしても、おそらくは「ベルばら」効果であろう。(今時の若いもんは知らんかのう、ふぉっふぉっふぉっ……て、ほんとに知らなそうだな、十代以下は;)混み合っていたのは、手紙とか細かい持ち物とか、小さい展示品が多いせいもあったかな。
 展示品はマリア・テレジアの物の方が多かったような。まあ、マリー・アントワネットの縁の品は、革命で廃棄/散逸されちゃってるのかもしれませんな。マリア・テレジア菩提寺(て言うのか?;)であるシュテファン大聖堂に寄進した法具類などは結構な宝物です。聖アンナと聖パウロ遺骨を納める聖遺物入れなぞは豪華絢爛でしたな。(あの程度の品はヴァチカンにはいくらでもあった、とかいう声は置いといて)
 ところでこの聖遺物入れを見てたとき、通りすがりの小学生が説明文を読んで「骨? やだ、気持ちわるー」などと言いながらそそくさと離れて行ったのを見た。これに私は「ばっかでー、本物のわけないじゃん」と思わず笑ったのだが(だって聖アンナと聖パウロですぜ。どういう経緯でシュテファン大聖堂まで来たか知らないけど、半分以上法螺だと思う。パウロはともかく、聖母信仰ひいてはその母の聖アンナ信仰が広まったのはもっとずっと後世のはずだし)よく考えてみると、聖遺物として偽物だったとしても、「誰かの骨」には違いないのだった。
 ……まあどっちにしても、こんな外国のデパートの展示会に貸し出す間、そんな教会最大の宝物まで入れたまま寄越すわけがないんだけども。
 さて、展示会に話を戻すと。こうして母娘の生涯を並べてみると、いかにマリア・テレジアが賢明かつ威厳ある君主で(強気の恐ろしいおばさまで)、マリー・アントワネットが華やかで悲劇的な(享楽的で頭の軽い)女性かが分かるという仕組みになっている。……まあ、マリア・テレジアが立派すぎるとも言うわなあ。23歳妊娠5ヶ月の時に即位、すぐ近隣諸国から攻め立てられて戦争続き、なんざ。これは比較されたら娘が気の毒だ。(いくら巨大な軍艦型鬘なんか被っちゃう能天気コスプレ娘にしてもだな)
 そういや、先日の朝日新聞の土曜版の連載4コマ漫画で、池田理代子氏はルイ16世を「今で言うとアキバ系」と表していたが、それを言やあアントワネットだってファッション・リーダーといいながらあの奇矯さ加減は既にコスプレイヤー。錠前とファッションの流行を合体させられるような、コミケみたいな特殊なイベントでもあったなら、この二人は結構仲良くなってたんじゃないかね。どう合体させるって、ええと、錠前型アクセサリを流行らせるとかだな。