たばこと塩の博物館にて企画展 「とんこつたばこ入れ 〜固い素材の柔らかい造形〜」

 「とんこつたばこ入れ」とは、基本的に木の根や竹の根、獣骨、稀に貝殻などを加工して作るたばこ入れ(というか、物によっては既にポシェットに近い大きさ)。元は農作業とか山仕事に持っていくものだったため、デザインはかなりシンプルで無骨なものだったらしい。
 実際展示されてたものは、布や皮、塗り物など(もっとも、漆器でも物によっては「とんこつ」の範疇らしい)の他の素材のに比べると、かなりあっさり素っ気ないもので、彩りを施してある方が少ないんだけども、よく見ると緒締めには瑪瑙やら珊瑚やらとんぼ玉やらを使ってあったりするので、決してファッションに無頓着だったための形ではないらしい。
 しかし全般に地味ではありましたな。元々の木の根などの形を生かして蛙やら虫やらを彫り出してある物などは面白いのだけど、外形はほとんど素材の形のままというのも多かったり。それで緒締めや筒の方がそれなりに凝っているところを見ると、浮き彫りやら塗りやらを施せなかったわけではなく、これはこれで簡素な形を好む客層があったのかなと思うことであった。
 しかし企画展の後で、たばこの歴史のビデオを見たのだが、どうもJTの立場は微妙になりつつあるな。「たばこの生んだ習慣は素晴らしい文化です」と言いながら、たばこの害や欠点については徹底的に避けて回ってるし。禁煙・分煙の現状を出すなら、喫煙で気を付けるべき危険もちゃんと出せばあんな座りの悪いことにはならないだろうに、などと思いつつ見る。
 確かに葉巻やパイプ吸ってるおじさん達とか、かっこいいんだけどね。でも映像には臭いやヤニはつかないんであって、気軽に吸われると周りは結構大変なんだってことはもうちょっと示しても良いと思うことであった。
 確かに過激で偏狭な嫌煙家も多いけども、世の大半の人々は、何も喫煙習慣の全てを根絶すべきとか言ってるんじゃないんだからさあ。もっとスマートに傍迷惑にならずに喫煙する具体的なスタイルを描いてもいいと思うのよ。