ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展

 かなり宣伝もしていてずっと見にいかなきゃーと思っていたのだが、来週までということでようやく上野は東京都美術館まで足を運ぶ。快晴の休日でもあり、かねて結構な人気と聞いていたので、混み合う前にと午前中に入ったのだが、それでも大変な人出であった。小さな書き込まれた絵ほど前に人だかりが。
 で、作品。おお流石に綺麗――なのだが、随分とシックに落ち着いた色合いであった。はて、こんなんだっけ? もっと鮮やかなイメージが――というんで気が付いた。
 展示品の大半はリトグラフのポスターなんである。ということは、元々同じ絵が何枚もあるわけで、そのうち今回は特に退色しちゃってるのが来たんではなかろうかと。
 まあかなり色の残ってるのもありましたけどもね。それに擦れた観覧者でなければ「こういう落ち着いた色合いがおしゃれなのねっ」と納得しそうな画面ではあるのだけど。
 しかし今回の展示は気合いが入っていた。というのは、一番有名なアール・ヌーヴォーのポスターの仕事だけでなくて、初期の油絵とか、ポスター作成前の習作とか、縁取りの繰り返し文様の試作とか美術学校に提供した資料とか、晩年郷里のチェコに戻って描いた物、または絵の資料としてや友人達とのスナップとして撮った写真も展示してあったので。晩年になると、少女などをモデルにした油絵や、ポスターにしても公共事業等に関する重い題材のものになるのだが、若い頃商品ポスターに描いたのとはまた違う、とんがった表情を見せていたりして。
(晩年少女像など子供の絵が増えてるのは、もしかしてお子さんが生まれたからかな、などと思ったり。ミュシャは結婚が遅かったらしく、子供達は四十過ぎた頃に生まれたとか。お嬢さんは絵のモデルにもなるなど写真も多数展示されていたが、なかなか綺麗なひとなんである)
 観賞の余韻のままに図版を購入し、更にショップを物色していたら、海洋堂作成のフィギュアコレクションがっ。――5パターンに、それぞれ彩色と無色の2種ずつで計10種類。2つか3つくらいいいか、と買おうとしたら――「全種類お求めになれるセットもありますよ」――それはなんか、卑怯じゃないか?
 ええ。落ちましたともよ。10個セット大人買い。オトナって、オトナってこれだから。
 ほくほくというかふらふらというか、これは置き場に困るよなあ、という気分になってしまい、ついでに有楽町まで出て無印で収納用コレクションボックスも買って帰った私なのだった。
 あでもね、帰って開けてみたら、造形はともかく彩色がよろしくないですよ、これ。色が流れてたり滲んでたりするの。彩色なしの方がまだ観賞に堪えますよ。
 しかしポスターを元にしたからには彩色の美しさも愛でたいところだし。いっそ面相筆と塗料買って、自力塗り直しを試みようかなあ。
(ちなみにこんなの。)