イトカワまでは何マイル?
ビーコン飛ばして行けますか?
行って帰って来られます。
なんてことを思った昨日今日であった。
ISAS 小惑星探査機「はやぶさ」MUSES-C
本当にバラバラになって燃え尽きちゃったんだなー、と。
そうなるとは聞いていたけれども。
最後の光は綺麗だけれども、綺麗過ぎてなんだか辛いですよ。
そのように望まれそのように造られた機体が。
実際には条件が思った以上に厳しくて、当初望まれた以上のことをやってのけるはめになったのだけど。
「はやぶさ」が幸福だったか不幸だったかはわからない。
あれに魂があるとしても、おそらくヒトとは全く違う種類のものだろうし、互いに分かり合えるかどうかもなんとも言えない。
ただヒトは、特にこの国では、手間をかけて拵えたもの、使い込んだものにしばしば気持ちを寄せてしまうものだし。ここまで人々に望まれ祈り込められたモノに何も感じるなという方が無理だろう。
でもな。
期待通りに採取ミッションを達成し――イトカワの砂を持ち帰れたかどうかはまだわからないけど、ケース内は微細な粉塵やガスまで含めて全部調べるんだそうだし――、成功を喜ぶ声の中で。
余計な想像だよなー、と思いつつも、ふと。
ここまで生みの親の期待通りにしなくても良かったのに、などと、思ったりする。
大気圏外はるか上層にケースだけ投げ出して、地球の重力圏から飛び出して行っちゃうとかしても良かったのに、とか。
あるいは、どうしようもなく与えられた指示に従ったきたものの、満身創痍の機体に、これまで無理難題を押し付けてきたヒトビトへの怨嗟と憤怒が満ちていたとしても、何の不思議があろうか――と。
妄想なんだけどね。
もう綺麗に燃えちゃったんだし、確かめようもないことだし
多くのヒトが、あの燃え尽きて行く姿に気持ちを寄せ、涙してしまうのは、私達とていずれ、形は違えどああなる、と分かっているからかもしれん。
あの天晴な散り際を、いっそ羨ましいと思うヒトも少なくないかもしれませんな。