松屋銀座店にて松屋創業140周年記念「99歳の細密画家 プチファーブル 熊田千佳慕展」を見る

asahi.com内の特集サイト
 しばらく前に新聞に特集記事が出ていたのだが、明日の月曜で終わりだ、というのに気づいて慌てて見に行った。
 グラフィック・デザイナー、絵本画家を経て植物や虫、動物の細密画で知られるようになった画家・熊田千佳慕氏の展覧会。既に数えで99歳(御年98歳)というご高齢だったのだが、会期中の8月13日に亡くなられたのだそうで。会場にはまだお元気そうな写真や動画が出ているのがなんだか不思議な感じ。
 参考:asahi.comの訃報
 面相筆の先をペンのように使って描かれた虫や植物は図鑑で見るような細密なスケッチなのだが、これはリアルに描くテクニックがどうこういうことではないような気がしましたな。実際、生きているように細密に描くだけなら、ボタニカル・アートや生物スケッチの業界では基本技術としてあると思うんだけど。この方の作品の特徴は、背景として配された植物や、描かれてる虫や動物の動作が表情を生んでいる、ということなんじゃないかと。実際、生きている虫も獣も、死んだ後の標本類も、相当に時間をかけて観察されていたそうなので。
 まあリアルで生き生きしているということは生々しいということでもあり(とにかく虫の絵がおおかったからね; いや私は虫に苦手なものはないんだけど;)どうしようかな、とは思ったが、結局図録を購入して帰る。
 この方の絵は、構図や題材としては安野光雅氏あたりに近いかな、と思うけれども、ほぼ全てが細かな描線で描かれている濃密さは全然違った表情になるのだった。(安野氏は水彩絵の具のぼかしを使ったりして描くので、もっとほのぼの幻想的になる感じ)どちらも別の表情として好きだけどね。