スーパーにて

 内職試験の半分を発送しに街中に出て、さあとっとと帰って残りやらなきゃー、と思いつつ、とりあえず何か軽くつまむものを求めてスーパーへ入った。
 帰りしな、スーパー外壁の脇に並んで立てられた小さな売店に寄ったら、どこからか猫の鳴き声がする。隣に見える、スーパーの裏口だか物置だかのドアから――?
 猫の声するけど、こっちに閉じ込めちゃったりしました? ――と、売店のひとに聞いてみたら、知らない、そんなはずは、とのこと。いいや、ドアの向こうじゃなくって、スーパーの外壁とこの売店の隙間じゃないか? という声もあったので、どれどれと覗いてみたところ。
 いた。
 多分2ヶ月行ってないくらいなんだろなあ、ちんまい黒っぽい子猫が。
 おおお、好みの柄っ――と、思うも、先方が居るのは成人の体格ではどうしたって入れない隙間の真ん中であった。しかも人が動いて、手なり足なり入れてしまうと、だだだっと、と俊敏に奥に引っ込んじゃうんである。警戒しまくり。これは、あんまり刺激しない方がいいねえ――ということで、ひとまず一度退散。
 しかし大丈夫かや、親らしいのもいなかったし――と、つらつら考えているうちに再びどうにも気になって、夜になってからもう一度行ってみる。当然内職の試験答案は一時棚上げである。(←あああああ;)
 覗いてみると、どうやら未だ壁の間から逃げてはいなかったが、その代り警戒もレベルアップしとるのだった。もしかして、食うかなー? と思って持って行った猫缶の残りも、納豆の空きパックに入れて出してやったら、がつがつ食らいつく。でも怯えは変わらないので、こちらがちょっとでも近づこうとすると、脱兎のごとく逃げる。そうこうするうち、ちょっと目を離した隙に、納豆パックごと引きずって奥へ持ち込む。
 これでは、呼び餌にならんではないか。
 結局、諦めて帰ったことであった。そらまあ、野良でも幸せそうにやってるならそれでいいんだろうけどね。私も既に3匹シニア猫を抱えてる中、これ以上頭数を増やすのがよろしくないことくらい分かってるし。
 ただ、親御さんもご兄弟も全然見えなくって、一人でフーシャー言ってたから、心配になっちゃったんだよ。ふうむ。