? 報道ステーションを見ていたら

 がん難民への対応の特集をやっていた。
 新しい治療法を医者も知らなかったり、というので本業は医療関係翻訳者のボランティアコーディネーター氏が、医者にも見放されたがん患者に免疫療法をやっている病院を紹介して、という流れ。
 ふーん免疫療法で何やるのかな、インターフェロンか、あるいは丸山ワクチンあたりか、と思ってみていたら。
 ホメオパシーだって。
 ……
 いや、そこまで治療法がない患者なら、まあそれも手かもしれない。それなりに効果はあるのかもしれないし。(たとえプラセボであろうと、前途を悲観してめりこんでるよりは自己免疫力が高まろう)
 でもこの番組によると、このがん患者の女性はホメオパシー治療のために、遠方から埼玉県の病院*1まで足を運んでるんである。そこまで時間と手間と費用をかけるほどのことかと思うと。当然保険は効かないだろうし。(てか、こういう「治療」で治療費を取るのはいいのか、薬事法として。)
 番組中でお医者(ちなみにサトルエネルギー学会の会長である帯津良一氏である)が「エビデンス*2はない」「これだけではなくて、西洋医学東洋医学の方法も合わせて行って」等の発言をしてるのでまだしもだが、ナレーションでは「効果が認められています」とか言ってしまってる。
 これは流石に拙くないかなあ。全国放送の、バラエティでもない「報道番組」で。

 コーディネーターの役割自体は評価するんだけど、そこにホメはなかろう、というのが正直なところ。これが入ったせいで特集の性質がずいぶん変わっちゃったんじゃなかろうか。
 きっと同じように「善意のコーディネーター」を名乗って、あやしげな薬剤やら健康食品やら治療機器やらを売りつける連中がわらわら出てくることであろう。考えるだにちょっとぞっとしない。

 で、放送直後から、ネット上でもざわざわしているのだった。テレ朝取材陣も、いったいどういう取材で流しちゃったかねえ。ホメオパシーについては批判者も推奨者もいる、と見て、進めちゃったのか。
 テレビ朝日のサイトに、番組の動画が上がっていた↓。興味がおありの方はご確認ください。ただし「ホメオパシーについては効果は保証されない」という研究結果があることを頭に置いた上で。
報道ステーション:見放された患者と共に闘う"がん難民コーディネーター"

#ところで、ちょっと気になったんだけど、番組中ではホメオパシー療法について、眠気とか多少の副作用がある、と言ってるんですな。ほんとに本物のホメオパシーなら、効果もない代わりに副作用もないはず。とすると、番組に登場する病院で行われてる「ホメオパシー」は、ホメオパシーと言いつつ何か薬効のある別の薬剤を投与してないか?

*1:ちなみに川越市の帯津三敬病院というところ。→http://www.obitsusankei.or.jp/ ホメオパシー治療は緩和ケアの一部として位置づけられているとのこと。「治癒困難な進行性疾患に伴う身体的苦痛(痛み )・精神的苦痛(不安や苦悩)・社会的苦痛・霊的苦痛(スピリチュアルペイン)を可能な限り和らげ」だそうだ。――霊的苦痛?;

*2:臨床試験などの研究でデータとして確認された効果、くらいの意味