元厚生次官宅・連続襲撃事件容疑者の話から

 どこへ行っても、皆様「これは八つ当たりだろう」という反応だし、私も同感だけども。
元厚生次官宅・連続襲撃:小泉容疑者、父あての手紙にも「犬の仇」 供述と同内容(毎日jp)

 捜査本部によると、小泉容疑者は「以前飼っていたペットを保健所に殺され腹が立った」「政治家が悪いと思っていたら、大学に行ってから高級官僚が悪だと分かった」と、次第に、ペットを失った悲しみと怒りが官僚に向かっていた旨を供述しているという。手紙の内容もこの内容に沿ったものだという。
 小泉容疑者の父によると、小泉容疑者が小学生のころ、野良犬を餌付けしてかわいがっていたが、人にほえるので父が保健所に依頼して引き取ってもらったことがあった。小泉容疑者は、この犬のことをずっと思い続けていたらしい。

 いやあの、愛犬を処分されてそれがずっと許せなくて、という気持ちはわからいでもない。分からないでもないけど、なんで三十年以上経ってから? なんで犬の敵が「政治家」とか「高級官僚」?
 確かに処分したのは保健所だろうけど、保健所に処分してくれるよう依頼したのは容疑者の父であって。どうして犬の敵は父親にはならないんだろか?;
 なんかそのへん、因果関係がこのひとの頭の中ではひどくねじくれてる感じがしますな。直視したくない現実から目を逸らそうとするあまり明後日の方向へ殴りかかるというか。ほんとに学校で数学が得意だったりしたんだろか。
 あるいは、こうやって社会的に大きく扱われるほどの犯罪を犯すことで、犬の敵である父親も手ひどい制裁を受ける、という魂胆だろか?
 ……や、そこまで考えているという感じはしないけど……

 この件に関しては、何をどう考えても被害者の方々には全く故のないとばっちりでしかないんだけども、あるいはこの容疑者がもうちょっと因果関係を辿る頭をもっていたら、各地の保健所職員を襲っていたかもしれず。
 また、勝手に動物を処分されたことを、ずっと恨みに思っている子供、というのも意外に多いかもしれませんがね。
 しかしどっちにしても、持ち込む人がいなければ公共施設で動物の処分なんてしないわけで。
 昨今では多くの自治体では、野良猫の場合は捕獲・回収には出向かないようになってきてると聞きますが(飼い猫・迷い猫の可能性があるから、勝手に処分したらそれはそれで問題になるのだった。野良犬の場合は、狂犬病の危険があるので捕獲するらしい)、野良でいるのを捕獲しなくても飼い主がわざわざ持ち込むケースは後を絶たないらしい。

 そういや先日、ミクシでもこんな呼びかけがあったなあ、と。
不要ペット回収車全面廃止

自治体の犬猫の引取り方法のひとつとして、
地域を巡回し、飼主から犬猫を引き取る、
定時定点収集のペット回収車がというものがあります。
飼い主が犬猫を持っていくとその場で引き取り、
回収車が引き取った犬猫を、
動物管理センターや動物愛護センターまで運び、
その後殺処分します。
ペットの回収車が存在する事で、
動物の尊い命を軽視する社会を作り、
無責任な飼い主の飼育放棄、遺棄を助長させるものです。
また、堂々とペット回収車が存在する事で、
安易に動物を捨てる人が多くなり、
命を捨てる事が簡単な事で、罪悪感を薄れさせていると思います。

 「不要ペット回収車」なるものを廃止すれば解決する問題とも思わないけど、自宅にいる動物を不要だと思った場合にも、捨てる/処分依頼することが難しい方向へ持ってかないと、状況は変わらないんだろね。保健所(多くの場合動物愛護センター、なる欺瞞に満ちた名がついているが)職員だって、好き好んで処分を行ってるわけではなし。
 ……とはいえ、元厚生省官僚襲撃事件に戻ると、どっちにしてもこの容疑者がそんなまともなこと考えてるとは思わないけどね……;
 実は厚生省官僚へのテロを目論んだ黒幕がいて、彼は良いように操られてました、とかいう方が、まだしも感情的に収まりがいいんだが……(だとしても、この事件の結果がましになる訳じゃないけど!;)
 でも、現実は、そこまで収まりの良い結末であってはくれないかも;