サントリー美術館にて開館記念特別展「鳥獣戯画がやってきた!―国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌―」展を見る。

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 懸案の展示を見に行ってきたんである。六本木駅からミッドタウンのガレリアを抜けて三楷のサントリー美術館へ行くまでのあいだ、脳内には「ちょーじゅーぎーがー ちょーじゅーぎーがー ちょーじゅーぎーがー ちょーじゅーぎーがー」と、モダンチョキチョキズの「ピ・ピカソ」が回っていたんである。
 で。鳥獣戯画
 良く知られている兎と蛙の絵は甲巻で、他にも三巻分の巻があるのだけど、他はもっぱら人々の日常の風景であったり、馬や獅子なんかが普通に動物として描かれていたりするので、やはり甲巻が一番面白いと言うことらしい。ただし一口に鳥獣戯画と言ってもかなり広い年代に渡って書かれたり編纂され直したり修復されたり写しが作られたりしてるそうなので、最後の丁巻あたりだとタッチや表情も全然違ったりする。
 要は「なんかふざけてて面白い絵」を集めてみたよということか。で、かわいい物とか楽しい物とかはどんどん写して人に見せてみたり、並べ直して愉しんだりとか。
#節操がないといやあそうなんだけども、当時印刷技術ないしなあ。紙だって高価だろうし。となると、上手い人に写させるのがいちばんだったのか。

 ところで「鳥獣戯画展」と銘打ってはいるけども、巻物であるという制約上、鳥獣戯画も全編を広げて見せるわけにいかず、各巻それぞれの半分弱ほどを見せるだけになる。で、その他のスペースでは、同時代の制作者と思しい人々や、後年に影響を受けた絵師らの作品を並べてみせる展示になっていた。それはそれで面白かったのだが。
 しかして、動物を人に見立てて描いている「鼠草子絵巻」や「雀の小藤太絵巻」なんてのは彩色の絵草紙なので、奇妙ななりにも美しく可愛らしいのだが、「放屁合戦絵巻」とか「勝絵絵巻」なんてえのは結構下世話にふざけた情景を描いている。いや、実は割といつの時代でも人間バカやってるな、というのと、そういうのをわざわざ絵に残してたりするんだな、というのが、微笑ましくもあり。ついでに、よくこれを展示に持ってきたな、という出品側の意図も。
 つまりなんだ、美術展だからって何も高尚なものだけとは限らんわけだ。折角だからもっと、こんな下世話な物があるよー、と朗らかに宣伝してもいいような気がするけどな。
 なんてことを考えながら外へ出て、ショップで迷った挙げ句に図版だけ買って(会場内にもショップあったけど、時間を気にして展示品を見る方を先にしたら、会場内ショップは早めに閉店しちゃっていたのだった;)折角だからカフェでお茶して帰ったことであった。ちなみにサントリー美術館のカフェは菓子もおいしいですよ。和三盆かなあれは。
 あ、ちなみにこの展示、エイリアンの絵とかフィギュアとかは置いてなかったですよ。あたりまえだが。