狂犬病二題

 一つ目は日本。昨夜のTVニュースで報じていたので知ったのだが、今日午後になって続報が出た。
狂犬病発病の60歳代男性が死亡、フィリピンで感染(YOMIURI ONLINE)


 同市などによると、男性は今月1日に帰国し、13日に水や風を恐れるなど狂犬病特有の症状が出たため、同市内の病院に入院していた。
 国内で狂犬病患者が出たのは36年ぶり。

 狂犬病というやつは感染・発病してしまうとほとんど手の施しようがないんだそうで。
 日本では急速に野良犬などが減って保菌している犬はほとんどいないとされているけども、そのせいで甘く見て飼い犬の予防接種をさぼる飼い主もいるそうなので、ちゃんと危険を広めとかないといかんでしょう。小型の室内犬なんかだと「こんなのが狂犬病になったって」とか高を括ってるヒトもいるようだが、怖いのは狂犬病にかかって暴れる犬じゃなくって、そこから感染して生死の境を彷徨うことなんだってば。
狂犬病に関しては飼い犬の予防接種は奨励ではなくて義務なんだけどね。

 で、もう一件は狂犬病禍が厳しい中国。状況とそれに対する対応が日本とは両極端ともいえそうだけど。
強制収容した飼い犬を殺処分?猛抗議に当局「デマだ」 (産経新聞)


 北京では今年に入り狂犬病9例発生、犬にかまれる事件が10月末までに11万人以上に上っているため、飼い犬管理を厳格化。飼い犬は一家に1匹とし、体高35センチ以上の大型犬や気性の激しい犬は市中心部では飼えないとし、この規定に反する犬に関しては先月から強制収容を開始、現在500匹の犬が収容されている。
 愛犬家の間では、収容された犬は処分されると信じられており、11日には数百人の愛犬家が北京動物園前で、抗議集会を開き、動物園の参観客も巻き込んで、一時は2000人規模のデモに発展、警官隊ともみ合った。市公安当局によると収容犬は7日の間に里親が見つからない場合、国際慣例に従い処分しているとしている。
 これは少し前にあった「「犬守れ」北京で2千人デモ 中国メディアは黙殺」(asahi.com)という状況を受けての対応らしいんだけども、何故か探してみても産経新聞くらいしか報じてるところがないんだな。
 まあちゃんと記事を読んでみても「500匹の犬が収容されている」のは事実のようだし、デモが起こったのはその数よりも、きちんと管理されている犬まで急に飼育規準を変更して強引に連れてっちゃった、というやり口に対してじゃないかな、と。それに「7日の間に里親が見つからない場合」とはいうけど、里親をみつけるために何か特別な尽力をしてるのか、ということまではこの記事では分からない。里親が見つかりさえすればいいなら、デモ参加者も、そんなことより里親探しに労力を向けたろうし。
 デマだ、という部分も皆無じゃないのかもしれないが、全てが全て根拠のない不満じゃないように見えるんだな、どうも。
 何にせよ日本の狂犬病報道と違って、この中国の動きは実体に関する報道が少なすぎる。日本でもデモの動きを知った人々が賛同の声をあげているけど、何よりまず現状を確認して欲しい。犬はどのくらい、どんな状況下で捕まえられてるのか、その後どうなってるのか。生きて収容所を出られる犬はどのくらいいるのか。