「国宝 風神雷神図屏風 ―宗達・光琳・抱一 琳派芸術の継承と創造―」を見る

 東京丸の内出光美術館にて。この三人による風神・雷神図屏風が並べられるという企画は六十六年ぶりとのこと。
 で、この三枚、目測で模写して再現、とかいうレベルではなく、それぞれ可能な限り採寸して複写を試みたらしく、サイズやポーズはほぼ同じ。故に現代の画像技術を用いて重ねてみると、ほぼぴったりと合うという。(抱一による光琳の複写はきちんとした採寸が許されなかったのか、ぴったりとでないところもあるようだが)ただし顔立ちとか色合い、細部の造作等にはそれぞれ独自のアレンジがあるわけで、その点を示すという展示になっている。
 まあ面白い展示なんだけども、実は個人的には風神・雷神図よりも、別室の抱一の秋草図なんかのほうが楽しかったり。これは純粋に好みの問題ではありましょう。風神・雷神というモチーフも嫌いじゃないんだけども、それなら宗達も参考にしたと思しい三十三間堂の木彫の方が格段に迫力があって魅力的だと思ってしまうもので。(二次元と三次元を比較するなって? でもポスターがフィギュアに劣るというわけじゃないし)
 展示を見終わって売店で図版と抱一「十二か月花鳥図」の絵はがき(ただし十二種類中八種類しか在庫がなかった;ちなみにこんなのとかこんなのだけど、ここにない菜の花なども混じっているからこれとは別バージョンの方)を購入してから、再度中に戻って、展示会場外にあるムンクの裸婦像を見直したりする。出光美術館には、ノルウェーオスロ市立ムンク美術館の協力による、ムンク作品を年三点ずつ紹介する展示コーナーというのがあるんである。今展示されている三枚の裸婦像は、大胆な色彩とタッチではあるけども、ムンクにしては不安なく普通に見られる感じ。心境の変化という奴だろうか。
 更に折角なので、閉館近くまで休憩室から都心の夜景を楽しむ。出光美術館は皇居のお濠に面したビルの9階にあるので、見晴らしは大変に良いのだが、夜となるとビル街の灯りの中で、足下の皇居の部分だけが黒々と沈んで見えるのだった。不思議な光景ではある。
 更に外に出てから、有楽町近辺(主に国際フォーラムあたり)で、CowParadeの一部を見ながら帰宅する。カウマップを持って出なかったもので、見つかったのは四体ほどであったが。
 天使牛とか、牛乳パック牛とか、ストロー付き乳牛等々楽しかったのだが、さすがに脚力が保たない。終了までに丸の内近辺に行って残りを見る機会があるかなあ。