月刊コミックビーム 2006年5月号

 要するに、森薫「エマ」の最終回なんであるよ。
 …………
 まあ、何も解決していないといえばしていない。でももうそんなことはいいんだ、と言えばいいのかもしれない。
 この先二人で(オーレリアかーさんやドロテア奥様の助力を受けながら、だろうけども)遠い遠い「マイ・フェア・レディ」の道を行くのだろうけども、エマはイライザに比べたらかなり素養はありそうだから大丈夫だろう。
 それに、作中では一切出てきていないが――登場人物等の誰もそんなことは知らないから当然といやあ当然だけど――この後、たしか英国社会は大きな転換点を迎えるのだった。ジョーンズ家のような新興の富裕層が増え科学技術が新しい力として権威の座を侵食し、「働かない」ことを誇りとする「紳士」(注:それってニートって言わんか?)はどんどん生きにくくなる。女性達のドレスは軽く、短くなっていき、高度な専門教育を受けることも社会に出て職を得ることも少しずつ浸透していく。そして二度の世界大戦。
 ――ま、その頃には「エマ」の登場人物達も亡くなってる/相当な老齢な計算だし、現代だって生まれた階層による較差が完全に消滅したわけじゃないようですが、二人の負う重荷も、社会の変化と共に少しずつ軽くなっていったと思いたいね。それでも簡単なことではないのだろうけど。
 さて、9月号からの外伝はどうなるのかなっと。(個人的にはメルダース家の使用人の皆様のエピソード希望。ターシャとか、アデーレさんとか。ハンスは実は傷心でも無表情のままなのかなあ)