BUNKAMURAザ・ミュージアムにてレオノール・フィニ展

 明後日までだというので、帰り道に寄って見て来た。
 シュールレアリストだと言われるのは嫌っていたそうだけども、タッチとか構図なんかにはマグリットマックス・エルンストあたりに近いものを感じるなあ。(実際エルンストとは戦時中同居してたりしたらしい)
 絵のモチーフには、細身のエレガントな女性像とか少女像が多い。エロティックとも見えるポーズにしても、静かで張り詰めてそこはかとなく不安を感じさせると言うか。
 ところで会場では自作の映画だかと自宅らしい場所の映像も上映してたのだが、しきりと猫が登場する。本人の写真にもたびたび大きなペルシャ系の猫が抱えられてたり寄り添ったりして一緒に写っている。それも全部違う猫。自宅映像には少なくとも5、6匹はいて家中のそっちこっちで寛いでいる。ペルシャ系ばかりではないのだが、どれも悠然として、でかい。
 芸術家としてどうだったかはともかく、この点だけは羨ましく幸福そうに見えることだ。パートナー達に先立たれたり、作風が暗く変わったりなどしていたそうだが、こんなふうに結構優雅に90歳近くまで生きたというのは相当幸せな人生ではなかろうか。
 てか、見終わってみるともう猫の事しか憶えてないし。いいのう、猫まみれの生活。
 今回は図版は買わず、絵はがきを三枚ほど購入するのみにする。しかしその先のミュージアムショップを覗いて見たら、河出文庫澁澤龍彦がずらりと。うおお、なんじゃこの充実具合は。誘惑がかかるじゃないか。
 誘惑の力と戦いつつ、とりあえず「暗黒のメルヘン」と「ねむり姫」だけ購入して帰る。にしてもあのラインナップ、ずっと置いといてくれるかなあ。もしかしてフィニ展やってる間だけだったりするかしら。踏ん切りを付けたはずでありながら、激しく気になることなのである。

暗黒のメルヘン (河出文庫)

暗黒のメルヘン (河出文庫)

ねむり姫―澁澤龍彦コレクション 河出文庫

ねむり姫―澁澤龍彦コレクション 河出文庫