日曜日のヴァチカン

 朝一でヴァチカン美術館の筈が、休館の日曜、なので急遽表へ回ってサン・ピエトロ大聖堂
 さすがにご時世を反映してか、入り口にセキュリティ・チェックがある。結構厳重である。そして中はでかい。広い。これでもかと豪華絢爛。もういい加減感覚が麻痺してくるくらい。
 別料金払って収蔵品見て、折角だからと言うのでクーポラの上へ上がるコースにも行く。エレベーターがあるから楽な物よね――と思ったのが間違いだった。わはははははは。知ってますかあなた、サン・ピエトロって、ローマの町中のまん中に建てた人口の岩山なんですぜ。いやケルン大聖堂ハヤブサが繁殖してるって話は「世界遺産」で見たけど、ほんと大聖堂って岩山だったんですわ。どうしてって、上ってみればわかります。ええ、暑い日だったんですが。
 さて、日曜日ということは猊下のお説教があるはずだ、というので慌ててクーポラから降りてみると、サン・ピエトロ広場にはパイプ椅子が並べられ、群衆が集まり、その左右前方には巨大な液晶スクリーンが。
 つまり、教皇猊下は外国へ説法旅行の最中で、その模様を中継して映すのだった。正確にはわからないけど、緑色を基調にした衣装のパグパイプ楽隊がいたから多分アイルランドあたり。
 しかし猊下は声もしゃがれて弱々しく、車椅子から立ち上がることもできず、なんだか大変な苦行を課しているような光景であった。お説教が終わると前に並んだ人々に祝福を与えるのだけど、手がふらついている感じで、いい加減休ませてあげようよ、というご様子。
 しかし確か教皇職は終身じゃなかったかな。仮に現教皇の逝去を待たずに代替わりが決まったとしても、確か選考も結構大変なのだった。加えてこんなご時世だしねえ。
 かなりテロへの警戒はしている様子だったけれど、それこそ命がいくつあっても足りないだろう。神の御加護を。(仏教徒だが)