行きましたぜ「APPLESEED」

そういうわけで、掛かってるうちに見に行ってきました。
で感想。
おおお。これは良く動く。
ランドメイトの造形も、敵味方ともに格好良いし。ビルや架橋をかいくぐってひゅんひゅん飛ぶとこなぞ血が騒ぐ。
そしてやっぱり「アップルシード」映像化というと、誰しもこれをやりたがるのね。たっきーステキー。(注:たっきー=多脚砲台。いや個人的に;)今回は八台も出てくるし。街路ばりばり踏みつぶして進むし。

ただ。
やっぱりこれは、ワタクシにはあんまり。
なんでって。
ドラマが痒い。   ←変な日本語ですが、なんとなく分かっていただけると。
歴戦の女戦士と言いながら、デュナンぼろぼろ泣くし、結構ふらふらしてるし。いや原作でも泣くとこあったけど、いかに衝撃とはいえ任務遂行中にあれはないだろ。(それとも「あれもあり」とする演出が足りなかっただけか)
他にも、こんな土壇場で口でやりあってどうにかなるってことはないだろとか。説得するとかショックを与えて揺るがせるにしても、あの状況であんな長話はやっぱり不自然。
全体になんというか、すごく分かりやすい物語にしちゃってるんですな。各勢力の思惑とかについては複雑さを残してるけど、感情的な矛盾・二律背反や迷いは、早い段階ですっぱり割り切れるようにしてる。
また映像で言うと、メカの動作が快い一方で、人物のモーションキャプチャには、細かい動きにやっぱりすごい違和感を感じるのだった。(ヒトミの仕草とか)動けば動くほどお人形に見えてくる。
物語についてもだけど、この違和感は何かと考えたら「余計に動きすぎる」というのと、その反面、意図的に盛り込まれた「遊び」がないのですね。硬質になりすぎてるというか、肌感とでもいうか、愛嬌がない感じ。
だいたい、原作では枝葉のエピソードやちょっとした言動・行動が面白みになっていた部分があって、完全に別物として造るにしても、なにかしらそうした魅力を盛り込むべきだったと思うのだね。ジョークや細かい情感の乗った台詞や動作もほとんどない。ブリの「照れ屋なんでね」くらいか。(これだって原作から引いてきてるんじゃなかったかな)
それと、前半部分では設定を台詞で説明しすぎてて、余計実感に乏しくなるし。(延命のこととか)
無駄なくつくりすぎた結果、言ってみれば「人がより人らしくない」のだ。

また。かっこいいアクションを愉しみながらも、いくらなんでもありゃないだろ、というところもいくつもあったのだった。
冒頭のおっかけっこからして出来すぎだけど、超震動ワイヤ使う相手に組み手はないだろ手足の何本かは持ってかれちまう、と思うし、それに多脚から落ちかけたブリアレオスの腕を掴んでぶら下げるなんざ、ヘカントケイレスの重量が何キロあると思ってんだよ、と。設定変えてるんだろうとは思うけど(じゃああの身体の素材はアルミかチタンか硬化樹脂か)それにしたってどう考えても、あそこはデュナンの腕が抜けて終わりでしょう。ってか、普通支えきれずに落とす。(落としても多分ブリは大丈夫だろうけどね。立派な外殻だし)
大体あれは、普通の男女でやるにしたって無理があると思う。いくらデュナンが鍛え上げてるにしても、あの体格差だし。
他にも細かいことだけど、「豪雨の中でずっと話してるのに人物の顔や髪が全然濡れてるように見えなくて余計お人形」とか「モーションキャプチャで撮ってるのになんで口パクが合わないよ」とか、様々な「萎え」ポイントのお陰で、結果的にメカアクションのかっこよさが相当割り引かれてしまっている。まああのメカと風景を見せて貰えただけで、料金分の価値はあると思うけども。
メカ同士の戦闘シーンに問題は感じなかったのだが。ヒトが絡んでくると、物語といい映像といい、途端に首を捻る物になっちゃってるのが不思議だ。

#後の付記:わあしまった、そういやたっきーだってダミュソス搭載じゃないか! じゃああのばりばり街路踏み割ってるのは派手さの演出か!(考えてみれば、出動する毎に街並破壊する防衛兵器なんて採用する側も嫌だよなあ)
特撮怪獣映画みたいで爽快ではあったんだけど、考えてみれば前回のOVA版でさえあれは宙を浮いて来るんだった。