耳なし芳一のはなし

 シュルレアリズム展で耳のオブジェなど見ながら、耳なし芳一のことを思いだした。そういやちょっと前にWikipediaで調べたな、ということがあって。(短編四作からなるオムニバス映画「怪談」の一編として、過去に映画化もされているそうな)

耳なし芳一

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 で。耳にだけ経典が書かれてなかったんだよな、というところから、ふと。
 ほんとに耳しか取られないで済んだのかなあ、などと考える。他の所はちゃんと漏れなく書かれていたのか。いや、どことは言わないが。
 じゃあ、取られないで済んだとして、ちゃんと書かれていたとすると……
 加えて。芳一は盲人なのだった。
 多少、声を掛けて貰ったりしながら作業を進めたとしても。どこに筆先がやって来るかを予測することは難しかろう。
 ……

 まあ、わざわざ爛れた想像を逞しくするまでもなく。そもそも、若い盲いた琵琶法師の全身の肌に経を書く、なんてえ状況自体が、淫靡ではある。
 あの物語が長く愛されて、語り伝えられているというのは、もの悲しさ、ほの暗さ、「耳を取られる」という状況の恐ろしさに加えて、あの淫靡さがあるからではなかろうかね。
 アア、もし貴殿が筆を用意して、「芳一プレイ」を試したいなぞと言うなら止めないよ。混ざりたいとも思わないけど。
 ――いや、書く側なら、いいかしら。

#コメント欄を受けて追記:そういうプレイが出てくるそうな↓。

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