「あるある大事典」捏造問題検証番組

検証番組「私たちは何を間違えたのか 検証・発掘!あるある大事典」放送について(関西テレビ)
 そういうものがあるとどこかで聞いていた気はしたが、すっかり忘れていたのだった。たまたま帰宅してテレビを付けたら流れていたので、見るともなしに見た。
 要は、

  • データについての取材前に、ほぼストーリー展開を決めていた
  • 調べていくと、当初あてにしていた活性物質の効果は放映できるほどではないことが分かった。が、これまでの取材を捨てるのが惜しくなった
  • なんとかこれまでの分も使えないかとインターネット調べたら、ダイエット効果があるとされる物質「DHEA」の存在と、これがイソフラボン摂取で増えるらしい、ということが判明。納豆→イソフラボン→DHEA→ダイエット、のストーリー組み直し
  • 米国のDHEA研究者に取材を申し込むも、期待したようなはっきりした答えは得られず、そのような主旨でのテレビには出演したくないとの返答。他の研究者を探してみる。

 顔にモザイクがかかった担当プロデューサー氏などの言葉を聞いていると、つい、ビジネスの世界ではごく穏当な判断なのか、と思いそうになるけれども、よく考えると根本が間違っている。――ということに、おそらくこの人達も全然気が付いてなかったんだろうなあ。そういう虚飾の上に組み上げるのが普通の仕事になっちゃってたんじゃなかろうか。
 だいたい、見てて何が変だって、データ収集の結果を受けて方針転換を図るための構成会議には番組制作会社等の担当者しかいないのだった。制作方針決定の過程には、医者も学者も一人も関わってなくて、あとからちょっとコメントをもらうくらい。でもその段階では既に、もうそんなコメントくらいじゃ変えられないくらい骨組みができちゃってる、という。
 それから、米国の研究者に取材したコーディネーターからの報告書というのもちょっと映ったのだけど、あんまり専門知識がありそうもない書き方だった。いや、ほんとは知識のある人だったのかもしれないけど、そういう書き方をしたら制作のえらい人には伝えわらないのだろう。
 何というか、至る所がその場しのぎっぽい感じ。これは、納豆のことがなかったとしても、いずれ綻びの出る体制だったんじゃないかと思うよ。番組中でテレビ局の責任者は、「これまでの実績があって有能だと思っていた」(大意)と語ってたけど、その能力とか過去の実績とかいうやつも、あんまり深く考えないで場当たりに評価してたんじゃないか、という気がするね。
 ただ、今度の「あるある」の一件を受けて、テレビが何か変わるのかどうか、と思うと。おそらく震え上がってる担当者は大勢いるんじゃないかと思うけど、だからってそうそう簡単には変えられない、というところにいるんじゃなかろうか。
 もしちゃんと変わるとしたら、視聴者の反応から変わっていかないことには。多分ね。