拡大する必修不足問題

 昨日の続き。
「必修」逃れ18道県98高校に拡大、成績表改ざんも(YOMIURI ONLINE)


 新たに判明した高校は、北海道の7校、青森の2校、岩手の5校、山形の1校、栃木の5校、静岡の7校、長野の2校、鳥取の1校、山口の1校、福岡の1校、佐賀の1校。私立も9校含まれている。ほとんどが、地理歴史教科の必修の2科目のうち、1科目しか履修させていなかった。
(中略)
 青森県立三本木高校では、理数科3年生36人について、2年生の時に、必修2科目のうち1科目しか履修していなかったにもかかわらず、成績表では、履修していない科目にも成績をつけていた。
 県教委には、2科目を学ばせると報告。生徒には、成績表のつじつま合わせを、2年生に進級する際に説明していた。生徒からは不満や疑問は出なかったという。
 また、静岡県下田北高校では、3年の理数科41人と普通科理系64人の計105人が地理歴史教科で必修科目の世界史を全く履修しないなどの履修漏れがあった。昨年度から続いており、必修科目を未履修のまま107人が今春卒業している。村野好郎教頭は「塾も少なく、大学受験のために必要だった」と話している。
 ちょっと調べてみたら、今の国公立大学の入試センター試験の社会科って、理系学部・学科では1科目選択すればいいようですな。だから高校での履修科目も1科目で済ませたいと思っちゃったのか。
 駄目だよ受験の一年二年も前から楽しちゃ。
 に、しても詳細が明るみに出るにつれ、悪いことだと分かってながら組織的にやってたというのが露呈している。いかに受験予備校化してたかということか。
 しかしここで、高校側が「塾も少なく」とか言っちゃいかんでしょうに。そらまあ今時、高校も塾・予備校群を目の敵にしてはいられないという受験対策/学校運営の現実はあろうけど、こうなるとただの開き直りに見えるし。「決められた高校の指導要領で合格させるなんて無理だよう」と駄々こねてるみたい。
 これだけ拡大してるとなると、これを必修逃れカリキュラムを実施してきた高校自体で対応させるのは無理じゃなかろうか。このカリキュラムで既に卒業しちゃった生徒も多いみたいだし。
 指導要領に照らしてこれが本格的に拙いと考えるなら、今の3年生も卒業生も、当面「仮卒業、単位不足」といった指定を出して、卒業後にどこかで履修して埋め合わせられるような形にはできないか、と思う。勿論進学や就職で卒業校から離れた場所に転居してる元生徒も多かろうから、各地の大学や高校で対象者向けの講座を開設するとか、通信教育とかで実施できないだろうか。ついでにこの講座を、必修単位不足対象者以外の希望者の参加も受け付けるようにして、社会人向け公開講座みたいな形にしたら、また別の展開もあるんじゃないかという気がするけど。
 ――で、もし、こういう対策が何も取られないとしたなら。これは、本人と周囲が自力で意識して埋め合わせ/回避していくしかないわけだ。
 まあ考えてみれば社会科に限らず、かねて不安が囁かれていたことではあるから、世の多くの人々にとっては「ああやっぱりね、うん、気を付けないと」くらいかもしれないけど。「これだからゆとり教育世代は」というのがちょっとだけ補強されただけ、と言うか。

#追記続報:
 はっはっは、もはやなし崩し。「みんなでやれば怖くない」状態。

 やっぱりさあ、もはや学校に頼ってちゃ駄目って事じゃない?;
 学歴社会ってこうやって崩れて行くのかしら、などとね。