「ダ・ヴィンチ・コード」VSカトリック関係者

 映画公開を前に対立は各地で顕在化しているらしく。


こうしたなか、世界各国のキリスト教団体は、同作品の上映中止や上映期間短縮を求める抗議行動を展開中だ。
 そっちこっちの動きをまとめてあるけど、過敏だなあ。まあ過敏だちうことでニュースになったんだろうけども。


【ニューヨーク17日共同】中絶反対運動などをしている米カトリック系団体「ヒューマンライフ・インターナショナル」のアイテナウア代表は17日、映画「ダ・ヴィンチ・コード」に抗議し、関連会社が映画を配給しているソニーの全製品の不買運動を映画公開に合わせ19日から始めることを明らかにした。
 宗教団体の反応のこの生真面目さというか強引さは、いかにもアメリカらしい感じ。


 「キリストが女性と結婚し、子供をもうけた」などというあらすじをめぐり世界各国で波紋が広がっているが、中国でもカトリック系の新聞がボイコットを呼びかける計画だ。18日付でチャイナデイリー(英字紙)が伝えた。
(中略)
 しかし河北省・石家庄市で発行されているカトリック系の新聞「Hebei Faith Press Newspaper」は今週中に社説の中でボイコットを呼びかける予定だ。同紙の責任者は「映画は真実でないから拒絶する」とコメントしている。
 最初っからフィンションだって言ってるのに「映画は真実でないから」があるかい。
 それにキリストに子供がいようがいまいが2000年近く前の話だし、現在の教理に関係がある方が不思議だと私は思うんだけども、「歴史的に正しい」教えでないと宗教団体としては拙いんだろか。
(まあ拙いと感じる人が多かったから問題になってるんだろうけど)

 もっともこの↓あたりになると、キリスト教的にどうとかいうよりも、描き方とかネタのあしらい方の問題という気がするのだけども。


しかし、カンヌで行われた試写会での批評は大半が辛口。上映中にはやじが飛ぶなどしたという。
「ダ・ヴィンチ・コード」、カンヌ上映で不評(CNN.co.jp)

あるシリアスなシーンでは笑いがしばらく止まらず、エンドロールの最中には拍手の代わりにやじが飛んだ。
 教会側からの反発というのは、映画・原作関係者にはむしろ話題を煽る追い風になったはずなんだけども、それで映画関係者にも失笑されちゃうちうのは、「法螺としてもお粗末」ということだろうね。
 しかし、上記CNNの記事後半は、比較的冷静なカトリック関係者や原作者の対応も書かれている。

ローマ法王ベネディクト16世は今のところ、原作や映画について何も見解を示していないが、多くのカトリック関係者は既に様々な意見を表明している。神父の1人はCNN記者に対し、原作や映画の人気が不可解だとしたうえで、カトリックのイメージへの影響よりも信仰への影響を懸念していることを明らかにした。その一方、ある位の高い司祭は、教会を攻撃する物語ではなく単なる娯楽小説であるとの認識を示した。
原作者ダン・ブラウン氏は作品の公式サイトで、物語が史実ではなく、聖書にも基いていないことを明言。「この本は何かに反論する目的ではなく、キリスト教の歴史で自分が興味を持った側面を探りながら書いた小説。敬けんなクリスチャンの大半はこのことを理解し、精神的な論議や論戦の題材となる興味深い小説だと思ってくれている」と述べている。

 冷静な人はフィクションと割り切ることができるにしても、キリスト教的に云々というのを問題視しなきゃいけないくらい「ベストセラー小説や映画で描かれている事は本当」と思いこむ人が多いちうことなのか。
 ものがサスペンス・フィクションなんだし、うまいこと法螺混ぜてあるに決まってんじゃん、と私も思うけども、世の中には思いの外純真な人が多いのか。
 でもなあ、「ダ・ヴィンチ・コード」については、物語のサスペンス性は認めるとしても、ギミックの使い方には割とお粗末なとこが多いようなんだけども。特に「シオン修道会」に関する法螺とか。(ニコラ・フラメルが総長だったなんてえネタにはちょっと期待したのに、分かりやすい捏造文書を元にしただけなんだもんよ。ちっ。)どうせ騙すならもっと、まことしやかな法螺を吹いて欲しいものだ。「すごい、ほんとにそうなのかも!」と思わせるくらいに。(同じキリスト教伝奇ネタにしても、エーコのようなの重厚さはないらしい)
 もしかすると、元々はトンデモネタを拾ってお気軽に書いた本だったのに、予想外に売れて大勢の人が真に受けるようになっちゃった、という問題なのかな。

 さて、私はどうしよう。とりあえず原作は借りたのでちゃんと読む予定だけど、映画は金を払って見る価値があるのか。
 好きなジャンルのネタを詰め込んであるだけに惜しいという気はするのだけどね。
yahoo! ダ・ヴィンチ・コード関連ニュースリンク
ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫) ダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫) ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)
映画「ダ・ヴィンチ・コード」公式サイト