表参道ヒルズ逍遥

 所要の帰りに、そろそろ人も減っている頃ではないか、と思い行ってみたのだった。
 表参道ヒルズというところは。道路に沿った細長い台形の建物の、真ん中に細長い吹き抜けが切ってあって、その周りをゆるやかな坂道がぐるぐるらせん状に取り巻いているという構造なのだった。だから通路沿いの店を次々に見て歩くと、いつの間にやら一番下だか一番上だかまで、延々スロープを歩いてしまうという恐ろしいエクササイズ仕様なのだった。
 いやまあ、途中の適当なところで諦めれば、エスカレーターもエレベーターもあるんだけどさ。
 しかしてここも六本木ヒルズ同様、居並ぶ店舗はほとんどが高級店ばかりなので、まあいい趣味だけどお値段もいいわね、ということで結局買い物をしようという気にはならなかったのだった。アクセサリの並ぶウィンドウのデザインとか、ディスプレイされた非売品の美術品などは楽しませていただきましたが。ちなみに割と下の方の階の電化製品のデザインを展示してある店舗で、恐ろしく値打ち物らしい盆栽を通路際に置いてあるところがあったのだが、展示品を見て回る若い客達は無頓着にそのすぐ前を通り抜けて行くのだった。凄いなあ、あれ倒れて枝折ったらどうなるんだろ、と思うと私はとても近寄れませんでしたよ。堪能させてはいただきましたけども。
 あれは保険とか掛けてあったんだろうか。でも生き物だし形作るまでに何年とか何十年とか掛かると聞くし、お金じゃ替えられないよなあ。そうでなくともエアコン効かせて照明も樹木のコンディションはきっと二の次で、という状況ともなると。それなりにメンテナンス入れてるんだろうか。
 それはともかく、ちょっと面白いかなと思うところでは、ワインを自動サーバーで少量ずつ試せるカフェスタイルのお店があったのだった。20mlで200円くらいから。飲んべにしたらコストパフォーマンスの悪い設定かもしれないが、ワインなんてとても1本買えないぞ、という私にはありがたい。今度多少酔っぱらっても良いときに試してみたいものである。
 しかし締めくくりは地下鉄表参道駅のショッピングモール・エチカ(駅地下、か?;)で、煮汁貯蔵帝都のカレーであった。やはり悪の秘密結社だなあ、誘惑されるもの。