日本伝統工芸展

 表題のため、午後から都心へ。
 当初、この展示は遅い時間までやってるらしいから、その前にデ・キリコ展ウィリアム・モリス展でも行くかなー、とも思っていたのだが、ちょっと前に作った靴擦れの傷が時々靴の踵に触れて痛かったもので止めておくことにする。
 結果としてそれで良かったのだった。何故かと言うと、むちゃくちゃ展示品多いっすよこれ! 一点ずつちゃんと見て行ったら、私は膝が笑いました。(←こら私の脚が弱り過ぎかも;)途中休んでお茶したにも関わらず。
 考えてみれば、日本中の名だたる伝統工芸の人が(といってもジャンルは限定しているんだろうけど)競って出品するとなれば、このぐらいの規模にはなっちゃうんですな。
 まあ私も壷とか漆器とか着物とかの善し悪しがわかるわけじゃないのですが、なかなか面白かったですよ。並んでいた工芸品としては、ガラス器、陶磁器、漆器、木工、竹細工、染織(着物と帯がメインで、組み紐、巾着等がいくつか)、金属工芸(彫金の小物と打ち出しの器など)、それから木目込みなどの人形がありましたな。考えてみると時間かけてみてしまったというのは、最初に見たのがガラス器の切子や七宝やパート・ド・ヴェール(これってどっかで聞いたと思ったらアール・ヌーヴォー期に復活された技法なんですな。ガラス粉末を型に詰めておいて加熱整形するんだそうな)なんかだったもので、いきなり力はいり過ぎたというのもあったか。
 多分各工芸家が一人一点しか出展してなくて、それぞれ特に良い一点物の作品を選んで出してると思うのだけど、こういうのの量産型ででももっと安く手軽に購入できる形にならないかな、と思うような作品も多数あったのだった。例えば着物の柄なんか、最近はもうあんまり和服用の反物と洋服地との差が無くなってるような感じ。(というか、洋服地の方が和柄エスニック柄を導入してるというのもあるんだろうけど)多分この展示品では染色に色々難しい技術を使ってるんだろうけど、こういう柄を綿かなんかのプリント地とか包装紙とかとして廉価で売り出してくれないかな、と思ったり。あと木目込み人形でも、ジーンズの青年とか小学生とかの日常的な情景のおかしみを描いてるものもあるのだけど、これってもし素材がプラスチックだったらワンフェスに出されたり、縮小サイズで食玩になったりする造型じゃないかな、などと。
 廉価量産化バージョンというのが作家に取ってどうなんだろうとは思うけど、こういうの安ければもっと欲しがる人いるだろうな、と思う物が多いのが、なんだか歯がゆいような気もするのだった。

 ところで、漆器部門の作品にたびたび出て来た「蒟醤」(きんま、と読む。蒟蒻とも醤油とも関係ないらしい;)という言葉があったので、帰宅してから調べてみた。「漆塗りの面に文様を彫り、色の漆を埋め込み研ぎ出したもの」だそうな。つまり色漆を使った象嵌、かな?