鯖の香も消えかけて

 でも折に触れてふと鯖のことを思う、そんな日常。
*とても鯖の話とは思えない言い回しだが。

 いやだって、おいしかったけどあれは匂いが残るんですぜ。手と台所に。グリルじゃなくフライパン使って脂を落とさないようにして、ちゃんと使用後に洗っておいてさえ。
 してみると、加々見神社の茶店の製造現場や、製造に関わる巫女さん達は、やはり常に香ばしい鯖の香を伴っていると思しい。
 匂いの他にも製造の苦労を挙げれば、あの鯖の骨をしっかり取らなきゃいけないことか。まあフープロ使えばいいかもしれないけど――骨まで粉々になるまで、となるとほとんど肉も全部ペーストだろうなあ。
 やはり大きな骨は、多少苦労してでも先に引っこ抜き身をこそげておくべきか。そういや「戦う巫女さん」の手にあれば、あの尖った骨はなんぞ武器として使えそうな気もしないでもない。確か魚には邪気を払うような効果もあったはず――でも鯖は何か違うような気もするけど。
 とそんなことを考えているうちに浮かんだ言葉。

   岩下志麻も新人から。

 うーん、大女優への道もぽっと出のひよっ子から。妖艶な熟女もはじめっからあんな迫力だった訳じゃございません。

 なんの話だっけ。

 それはそうと鯖団子、つらつら考えているうちに、こし餡以外にも合いそうな餡を色々思いつきますな。
 例えば、
・みたらし これは普通に合いそう。甘くしすぎないのが吉
・ジャム  酸味が強い方が合いそうですな。杏とかぶどうとか柚とか。あるいは生の果物やドライフルーツなんかもいけるかもしれない。
酒粕   「日本酒が欲しくなる味」ということからの思いつき。甘酒風というか、ちょっと甘みととろみを付けて生姜なぞ加えると良さそう。アルコールを飛ばしきらない方が大人の味ですな。ただ、冷めた後がどうか。
白味噌  これは普通におかずというかつまみというか。田楽みたいなものだろうし。柚風味で酢味噌みたいにすると、いくらか甘くても合いそうな。
・ヨーグルト 合うんだってば。必ずしも甘くないものだし。ほのかに塩味とかにんにく風味と考えれば、実はトルコ風かな?
・チョコレート 合わないこともない――と思う。ブラックチョコとか無糖ココアパウダー振るとかなら。ただし甘いホワイトチョコやらミルクチョコやらは流石に勧めない……(止めもしないが)
・生クリーム 甘味の程度がネックかな。
・カスタード 上記と同様と言えなくもないけど……誰か試してみたんか?;

 どうやら、中に仕込むよりも後から上にかける方が色々バリエが楽しめそうですが。
 どこぞに後に続いてくれる勇敢な方々が、おられんものかしら。