こんな、夢を見た

思いつきとも言い難いが、面白かったのでメモしておく。
前後の状況は省くが、夢の中で私は一冊の文庫本を手にしている。
厚くて重みのある、ホラー・アンソロジーの新刊だ。(要するにこれの架空の一冊だろう)ぱっと見ると、小口のところが異様に黒い。ページの端が尽く黒く塗りつぶされているので、そんな風にみえたらしい。しかもこの本、所々が数頁ずつ黒い紙で封印された袋とじになっている。
今回のお題はなんだっけ、と思いながらぱらぱら捲ってみると、見開きで世界地図が載っている頁が目に入った。黒い装飾的な縁取りがあり、描線の様子からしても古地図のようだが、地名などの記載はカタカナだ。
更に捲っていると、また世界地図のページがあった。だが今度は見慣れた大陸の配置ではない。ヨーロッパとアジアの間は大きく裂けて海になっており、チベットあたりを中心に、いくつかの小さめの大陸と多数の島が集まって、内海を為している。
ああ、プレートテクトニクスでアジアが形成される前の、古代のパンゲア大陸って奴かな(よく考えるとそれはかなり違う)と思いながら更に頁を捲る。
と、今度も見慣れた地形ではなかったが、それだけではなく、なんだか様子が変だ。ユーラシア大陸の東に日本列島がないのはまあともかくとして(大陸の海岸線も見知った物ではなかったような)地名の文字が妙に読みにくい。部分によっては逆さに書かれているのだ。なんでこんなことを、と思いながら本を逆さにして気がついた。日本列島があった。オーストラリアの東側、ニュージーランドの北(だから逆さにすると下)あたりに。
なるほど、これで移動しても今とあんまり違わない気候分布になるのだな、と妙に納得して更に先を捲る。(よく考えればそんなことはないかも。それとも東西も反転していて、日本海側をオーストラリアに寄せた形になっていたのか? 残念ながらそこまでは覚えていない)
今度も、部分によって逆さに地名が書かれた地図だった。が、今度の地図は、どこに向きを替える境目があるかはっきり分かった。台湾の南あたりから赤道のやや北、緯度線に沿って、大陸の南が切り取られて、真っ直ぐな海岸線になっているのだ。だからインドシナ半島もインドもない。インド洋が妙にのっぺりと広大に描かれている。(名前はインド洋ではないようだった)直線の西端はちゃんと確認しなかったが、多分アラビア半島の半分を切り取って紅海まで続いていたと思う。しかもこの直線の海岸から、所々に港湾のような直線の半島が突き出ていた。世界地図で分かるような直線の地形って、やっぱり人工の地形だよな、と思いながら見て回ると、その直線の海岸の北側であるユーラシア大陸の地名は南を下に、広大なインド洋の南東側、オーストラリアとその周辺の群島の地名は北を下にして書いてあるのだった。ここでも日本列島はオーストラリアの東にあるようだった。ただしかなり変形していたかもしれない。
南北アメリカとアフリカがどうなっているのか気になったが、確認する前に目が覚めた。
他の頁にはどんな地図が載っていたのだろう。ちょっと惜しいことしたかもしれない。

そういうわけで、オルタナティブ・ヒストリで一冊アンソロジーが組まれたりしないかな、などと考えることなのである。そんなに書き手がいるかよ、と言われると辛いところだが。