著作権問題あれこれ

 シンクロニシティ、というか、そっちこっちの不心得者の存在がようやく知られて騒がれ始めたというか、別々の事例で起こってきたのでメモがてら書いておく。

 まず一件がこれ。

ねこタン―癒され、なごんで、幸せになる

ねこタン―癒され、なごんで、幸せになる

[rakuten:book:12864431:detail]
 「癒され、なごんで、幸せになる」とは安いコピーじゃなと思うが、なごんで嬉しくなっちゃうのは確か。それだけ楽しく愛らしい猫写真が満載。
 しかしまあそうもあろう。この本に掲載されてる猫写真は、ネット上のペット画像掲示板などで既に良く知られた物ばかりだ。
 つまりは「拾い物」。「ネットに上げたうちの猫の写真が掲載されてる」という撮影者の声もぽつぽつ出ているけど、いずれも、特に掲載について事前の連絡もなかったとのこと。
 ペットうp板うp板のいろんな議論のスレ:2008/04/11〜
 おそらく、ネット上で人気の定まった写真ばかり手軽に集めて作って、ぱっぱっと売っちゃおう、という企画だったんだろね。あるいは、ネット上で転載を繰り返されて流れて来たものだから出所は分からなかった、と言うかもしれないけど、ねこ@ふたばあたりの掲示板をずっとチェックしてる人々には、いずれもだいたいお馴染みだったりするのだが。自分のサイトやブログを持ってる方も、定番の投稿掲示板があってコテハンであったりする方も多い。
 にもかかわらず、いずれもメール1本の連絡もなかったらしい、というところからして、権利問題について手間をかけた作り方はしていない。やったもん勝ち、ということか。
 上記の「ペットうp板」などは、個人の掲示板を一般投稿に解放して下さってる形なので、「オリジナル画像を投稿お願い」とか「誹謗・中傷・心ない発言は問答無用で削除対象となります」といったルールがはっきりしているし、違反対応も早いのだった。長くいるコテハンさん達は管理人さんとの交流もあるらしい。
 で、著作権侵害親告罪だから、とタカ括ってるのだと思われるのだが、このあたりには出版関係者も居られるのである。写真で食べてる方がてすさびで自宅の猫を撮影しておられるとか。本職は編集者なんだけど自宅ではただの猫道楽、とか。
 ネット上の転載までは容認してる投稿者の方々も、それで商売してるとなるとさすがに容認できないのが普通。ちゃんと同意の上での掲載ならともかく、あんまり勝手して楽に稼がれたら良い気はしませんわな。
#ちなみに過去にも同様の前例はあった。これは出版社側は故意ではなかったけど、知名度の高い商品だったんで、今後のイメージを考慮して全回収という形になったそうな。
*ヲチ対象:はてなブックマーク「ねこがいっぱい!ねこタン|大洋図書」(公式サイトへのブックマーク)


 もう一件は、mixiで聞こえてきた、ラノベや漫画の大量海賊版データサイトの話。
 一部引用程度なら問題にならなかったんだろうけども、全文掲載データが大量に蓄積されて、Winnyでダウンロードできるようになってる、というので、さすがにいくつかの出版社で取り上げられるようになったそうな。現在進行中の事件なので、現時点ではまだ詳細は書かないけども。
 私もYoutubeあたりの動画サイトでTV放映の一部を見たりすることはあるもので、商用作品の全部が無料データサイトに全く出てこなくなったら実態が分からなくて辛いとは思うけども、ネットに上げるとしても一部引用に止めとけ、と思うのよ。(出典を明示して、それに対するコメント部分が主であれば、一部引用は著作権上も容認される)
 クリエーターにちゃんと還元されるようになってないと、いい新作がちゃんと作られるような仕組みは維持されない、ということも、見る側が意識してないと。好きな作家や漫画家、動画制作者が食っていけなくなって消えていってしまうのは嫌だ、と思うなら、せめて買い支えるべきでありますよ。
 好きだから他の人にも勧めしたい、広めたい、と少しでも思うなら、全作コピーは逆効果だと言うことを頭にいれといて欲しいですよ。良くも悪くも出版や放映は事業であって、タダのままでいくらでも流れ出てくれるものではないって事ね。もしも、なんとかタダで見続けたい、と虫のいいことを考えるなら、どこぞから大きなスポンサー/発注元を捜して連れて来るのだね。クリエーターを当分養ってくれるくらいの。
 現時点では、タダで美味しい話は、そんなにないですよ。