「シンデレラマン」試写会に行く

 突然試写会チケットが当たったので見に行って来たのである。
 主演ラッセル・クロウ、その奥方役にレネー・ゼルウィガーを配して描く、大恐慌当時に洗うが如き赤貧からカムバックして勝ちまくったボクサーの物語。
 うむ。まあ良い話なんだけど。なんか食い足りないかな……試写会のおまけとして「泣ける映画だから」というんで広告プリントハンカチが入ってたんだけど、実際は泣くような所はなかった。共感を生むところはあっても、泣くような話ではない気がするんだけど。
 もしかすると、誇りも意地もなく泥水かぶったらかぶったところで生きてくもんだ、なんてえ現代日本の庶民には理解しにくい話かなあ。電気が来なきゃ暖房もなくなる、というのも良く分からんし。最初っから薪ストーブ使えば安上がりだったのに、とか、電気がきた途端に家中の灯を付けるなよでんこからのお願いだぞ、とか思っちゃうし。親戚の家に預けられることがそんなに悲惨かな、食うや食わずで病気にもなってるのに、とか。
 レネー・ゼルウィガーは苦労の中で生き抜く強い女という役がますます板についてきてる感じだが(「ブリジット・ジョーンズ」は違ったが、あれは別の意味でたくましいと言えなくもない)この話の中に置くならもっと泣き言言って悲惨な面を浮き上がらせてもいいのに、などと思う。
 やっぱり最初の方で、一瞬にして絶頂期から赤貧のどん底(の一歩手前)まで飛んじゃったのが勿体なかったかも。浮上の喜びのために、悲惨な側面はより悲惨に書かれねばならんのだ。途中に出て来る暴動起こして死んだ友達のエピソードも、この友達にあんまり感情移入できないせいか効いてこない。
 つまんなくはないんだけどね。感動の一大巨編って感じもしないのよ。デートとかで「とりあえず何か見よかー?」とかにはいいかもしれない。
 それともこれは、私にとって、試合で殴られる痛みがあんまりぴんとこないせいだろうか?