イラク邦人拘束事件で知る情報

 実態見えぬ警備会社、イラクで米軍から業務委託
 警備会社というか、今日のニュースあたりだともう「民間軍事会社」と書いてるけど、傭兵派遣業なんですな。
 兵役もなく、戦争もせず(ということになってる)、軍隊もあんまり大きくしない(ということになってる)国にいると知らないことだけど、それでもプロの兵士という職業はあって、この国に生まれてもそういう仕事を選ぶ人はいる。
 ボランティアやジャーナリストや一介の旅行者が拘束されたときには自己責任論が起こったけど、こういう方になるともう、言うまでもなくしっかりと腹を括ってることでしょう。平穏な国からぐちゃぐちゃ言う余地などないくらい。(だいたい「元特殊部隊員ともなれば、日給1000ドル(約10万5000円)だそうですぜ。勿論それが受け取れるのも使えるのも、生きて帰れればの話だけど。)
 それでも、こういう事態になったとなれば、外務省も動かざるを得ないでしょう。ボランティアのためなら動いて兵士なら動かないのか、ていうと、国家システムってそういうものじゃないし。
 それに、現実を見据えたら、こういう職業だって必要なのは確かなんであって。そう言う仕事のために自分から行ったんだから何もしてやる必要はない、というのも妙な話。いや、もし見放すなら「この地域に行くなら日本政府は安全を保証しません」と、一貫して態度を決めるべきでしょう。
 でもそれはできないと思うのよ。だってイラクは「危なくない国」ということになってるんだから。自衛隊を送れるくらいには。

 「国」なんてものは状況に対処するためのシステムに過ぎず、「同胞」は偶々同じシステム上で生活している人々以上でも以下でもないと私は思っている。そこに共通の感情や認識が生まれることもあるけれども、それは何も約束することのない、全く曖昧で不確かなものでしかないと思うんだけども。
 でもだからこそ、システムの方針や手段が明確でないのは拙いんじゃなかろか?

 と、言う点からすると、日本にとって苦しい反応ではあっても、これはむしろ明快な方針と言えるかも。
<邦人拘束>「武装勢力との仲介の用意ない」聖職者協会
 イラクの国内組織にも、事情がありますわな。

*後日追記・参考:『統治失敗』で外注バブル 警備ビジネス10兆円市場(東京新聞)