見知らぬ町

 今朝方見た夢。
 鈍行らしいちょっと古びた電車に乗って、鄙びた地域を移動している。雄大な景色というのではないが、舞台はヨーロッパなのだそうだ。誰だったか、友人らしい連れはいて、旅の先の予定など話すのだが、周りの乗客の言葉は分からない。
 やがて電車は終着駅に着いて、ここで乗り換えると明日の朝にはドイツ国内のなんたらいう駅に着くという。今いる駅はスペイン国内なのだという。(よく考えると、そんなわけあるかい、という地理的条件だが)
 乗り換えまで時間があるので少し町を見よう、ということになり、駅舎をうろつく。路線は3、4本入っているらしいが、それほど大きな駅ではない。小さな売店やらコーヒースタンドやらは、それなりに新しく清潔で商品も豊富な様子だが、旅行者らしき姿よりも、地元住民らしい客が目立って雑然とした感じ。
 戸外へ出ると陽光が明るい。駅は高台にあるらしく、街並みはほこりっぽい下りの坂道に沿っているのだが、ごたごたと建て込んだ感じであまり見晴らしは良くない。
 何か食べるにせよどこか行くにせよ、まずは現地通貨がいるんだよな、と気が付き、両替窓口を探す――というあたりで目が覚めた。
 スペインの田舎なんて行ったことないんだがなあ。もう十何年も前にパックの欧州ツアーでマドリッドに立ち寄ったくらい。とりあえず夢の街並みは、マドリッドには全く似ていなかった。通行人はラテン系だったようだけど。
 しかし夢の中の私は、「乗り遅れるかも」というそこはかとない不安があるのか、折角の外国の町でもあまり楽しんでいなかったようなのだった。手持ちの現金もないのでうろうろしてるしかなかったせいか。折角の海外なのに勿体ないことをした。(夢だが)
 あの後首尾良く両替して町に出ることが出来たのか。ちゃんと乗り継ぎの電車に乗れたのか。またいつか続きを見ることがあるかの、と、怖いような楽しみなような気分なのだった。