試写会にて「笑の大学」

 三谷幸喜脚本の舞台劇を、映画化したもの。(映画も脚本・三谷幸喜となってるから、台詞は舞台版そのままなんじゃないかな。目立った台詞のないシーンを盛り込んであるけども)主演は役所広司稲垣吾郎。――というか、元が二人の人物による密室劇だけに、登場するのはほとんどこの二人だけ、場面も取調室の中がほとんどで、他の場所が出てくるのは回想シーンと劇場街・劇場くらい。
 しかしこれが、しまいには閉じられた取調室を一杯につかってバカをやる。堅物を絵に描いたような役所広司演じる検閲官と、稲垣吾郎演じる腰の引けた劇作家が、シナリオを挟んだやりとりを通じてどんどん変わっていく。うわあ、バカだなあ、と思っているうちに、どん、と落とされ、終いには泣かされてしまう。
 いや、元々の脚本が面白いのだろうが、テンポの良い演出と(オープニングの、BGMのリズムに乗って「許可」「不許可」印が押されるところからして笑わされる)出演者の嵌り具合がなんとも。検閲官の変貌には、あんな厳めしい顔つきからあんなバカやるところまでくるか、と笑いながら呆然としたが、考えてみたら役所広司って、生真面目なサラリーマンが雨の中で激しく踊り狂うなんてのもやったんだった。対する稲垣はというと、「情けない役」とか「地に足のついてない感じの役」がどんどん嵌るようになってるなあという感じでよろしい。(スマスマでコント修行しといてよかったね)
 背景に使われている、戦中の浅草の建物や小道具なども凝っていて楽しい。日が経つ毎に戦時色が濃くなっていく様子とかね。
 もう一度映画館で見るかどうかは分からないけど、ビデオ/DVDで舐めるようにチェックしてみたい気がするな。いや、途中で止めないで流れに身を任せるのが正しい作品かとは思うけど。

#後日追記:映画版の脚本は、舞台版のに手を入れてるので同じではないそうです。特に最後に独自の展開を加えている、とか。
むむ、そうなると舞台版でどうだったのかも知りたくなってしまうじゃないか。