臓器提供者から狂犬病感染、米で3人死亡

 私は移植医療という奴に大変懐疑的な人間で、一生ドナー登録はしないだろうと思ってるんだけど(ドナーカードは「提供拒否」にチェックして持とうかと)その理由の一つが現実の問題になったと思いましたね。
 だいたい街角の「愛の献血運動」からして胡散臭いと思っていたし。通りすがりの誰かの血液で、当面命は助かっても深刻な感染症がやってくる可能性は大。ちなみに知人に何人か、全くの健康体だけど献血を断られる人々がいますよ。狂牛病対策が終わる前に、半年以上欧州に居住していたから。既にそういう問題はあったんだから、善意でどうとかいうレベルではないと思うんだけども、なかなか一度できたシステムは変わらない。
 勿論、そこまでの緊急の必要があるから、危険は承知の上でもやむを得ず輸血や移植に踏み切るわけだろうけれど。でも実際に治療を受けてる患者も、治療方法を決定した医者も、どこまでこういう危険性を理解してるかなあ、と思うとね。
 その方法がルーティンになっちゃうと、一々細かい事情を考えずに漫然と使ってしまうようになる。他人の躰から細胞やら成分やらを貰うって事は、結構怖いことだというのを承知の上でないと、とても移植なんかできないんじゃなかろうか。
 医者やコーディネーターがどれほど善意であろうとも。良かれと思って移植治療をして、後で「一生感染症に苦しむことになったじゃないか」と嘆かれ罵られ、かつ賠償請求をされたりなどしたら。そういう問題に関しては、あんまりにも能天気ではなかろうか。
 だから「もしあの頃、骨髄バンクとあなたのドナー登録があったなら」というあのCMを見るたび、私は非常に複雑な気持ちになりますよ。結局感染症なんてものに対しては、人間自分自身についてしか責任を取りきれないんじゃないか、と。
 輸血や移植を行うとしたら、一番いいのは健康な時の自分の血液や組織を必要なときに利用できるようにすることだと思うんだけどね。そういう研究や実施のための体制作りなんて試みは、ないんだろうか?