訃報

鷺沢萠氏が亡くなられたとの報を読む。
ただ呆然とするばかり。
「コマのおかあさん」買ってきたばっかりだったのに。
きっと飲んだくれて不摂生していたんだ。こんな早く亡くなっちゃうなんておばか。(いや一面識もないけど)
コマはどうなっちゃうんだろう。いやそれもだけど、それよりももっともっと色々書けた筈だったし、書きたい物もやりたいこともあったろうに。年とってもっと年季の入った文を書いて何かまた賞をもらったりするだろうと思ってたのに。
と、言うほどこの方の小説をちゃんと読んでる読者じゃあないのだが。でも角川ホラーのアンソロジーに収録されてた短編はなかなか良かった。こういうものも書くんだな、とちょっと感嘆した。いずれ「異形」に参加してくれないかなと思ったこともあったのだ。
それと、この方は私と(恥ずかしながら)同い年なのだ。生年は違うが、同学年だったはず。十代でデビューされた方なので執筆歴は長いが、まだこんな年で一人で亡くなられるとは。亡くなられたのはおそらく11日日曜の早朝で、12日の夜に発見されたという話を聞くと、ちょっと身につまされる物がある。確か日曜は夏日じゃなかったか。

と、書いたところで、後から自殺との報を聞く。
衝撃は受けるが、もう腹も立たない。哀しくて力が入らない感じ。
酔ってたんかな。コマ見て思い止まってくれなかったんか。やっちゃってから意識失うまでに「あっしまったコマ」とか思わなかったか。
同居人に先立たれるけものは哀しい。自分でやっちゃった鷺沢氏に同情はしないけど、コマが気の毒でならない。

とはいえ。繰り返しになるけど、私は「あの世に福などあるものか」と思っている人間なので、型どおりの追悼の言葉は書けないが。あの世なる物があって鷺沢氏がそこにいるなら、そこが穏やかで、できることなら快適でおられますように。(雀卓を囲む相手はいるのだろうか)

(トイレの中で首吊り自殺、と聞いて、それは密室殺人じゃあないのか、と考えてしまう自分がちょっといや。)