ドナドナ

 朝早く、テレビが届いた。
 ということは、古いテレビの回収でもあるのだった。
 予想外に早く来たので私は慌てて、
「ちょっとすみません、まだ梱包してないんで」(買ってきたときの箱と梱包材が引っ越し後もとってあった)
 と言って梱包しようとしたら、運送の方は
「あ、いいですよ、もう廃棄するだけなんで」
 と、そのまま持っていってしまった。
 ああ……そういうもんなんね、まだ映るっちゃ映るんだけど……
 などと思いながら、呆然と見送ったことであった。別れを惜しむ間もあらばこそであった。
 あとからなんとなくじわじわと罪悪感がやってきたのだった。我ながらセンチメンタルに過ぎるような気もするが。
 しかし古来、年月を経た事物には精霊が宿ると言うし。前の晩に塩と酒でも捧げるべきであったか。――そんなことしたら確実にショートしますがな;

 そういうわけで古いブラウン管が去り、液晶君が来たのであった。
 アンテナ接続部品が足りなくてまだ衛星放送映るようになってないけどさ。デジタル放送もまだ映らないけどさ。